成木村希望の碑

                 

 

 

 

 

 

 多摩の成木の里は青垣山四方を周りて成木川その間を流れ、或は瀧津瀬を飛ばし或は銀蛇をくねらしてあまねく国土を肥やし麦生藷生を始めとしてさわの田那つ物青物四季を通じて緑の美観を絶さず。民族純撲にして生業に勤しみ公事に尽くし私事に譲り殊に子女を愛しみて望を其の将来に懸く。名刹安楽寺に杉銀杏 欅の三巨木あり。いづれも千年の老樹にして或は針葉常磐の壮観により或は濶葉黄緑の美観によりて雲を凌ぎつつ郷人の志気を鼓舞す。実に老樹は国の宝なり。而して灌木蔬菜花卉の類うら若き色彩をその間に點綴し新陳交替せしめて人の世の理想の両端を暗示す。若き農村成木の長へに伸び長りて成木する将来や実に頼もしというべし。こたび我が成木国民学校増築その功を竣ふるに当り特に高遠の希望を掲げて村の将来を頌ふ。後に来る者よく奮闘努力せよ。