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成木小学校は、市の北部地域に位置し、小規模特別認定校制度を利用した都内ではめずらしい特別認定校です。小学校周辺は、自然が多く残されており、その地域特性と少人数のクラス編成を活かした学習が行われています。校長先生にお時間をいただき、特に力を入れている取り組みについて、お話を伺いました。
※小規模特別認定校制度とは…少人数でふれあいに満ちた特色ある教育環境の中で、子どもを学ばせたい、学びたいという保護者や児童に、一定の条件のもと特別にほかの通学区域からの入学・転学を認める制度です。
成木小学校の特色は、少人数を生かした学習指導、1年生から6年生の児童すべてを含んだたて割り班活動、ブラスバンド部の活動など、様々な活動があげられます。今回は1、2年生の生活科と3年生からはじまる総合的な学習の時間で取り組む、「自然と地域の中での学習」について紹介します。
青梅市の成木地区には、豊かな自然を中心に多くの地域資源があります。そのため、地域で活動するゲストティーチャーにお越しいただき、体験を中心とした活動を行うことができます。成木川やアマガサスの森、学校前の田んぼなど、その活動場所は多岐にわたります。
成木川では生き物の採集や観察、川での安全講習も行います。森の中では、木の実や落ち葉の収集、自然環境を体感して学び、間伐体験なども行います。5年生では、社会科で林業に関する学習をした際に、間伐作業を実際に体験し、切り取った間伐材のその後の利用も自分たちで考え、イスを作ってみるなど、各教科での学習と結びつけることができます。実体験を伴う学習は、教科書だけでは得難い、子どもたちの学びに対する意欲を向上させ、自分事として地域の課題をとらえることができます。
体験学習を行う上では、少人数であることも大きなメリットになっています。学校前の田んぼを借りて行う、もち米栽培では、通常、一人の子どもが1、2回の体験で終えてしまう作業を1人1人がクタクタになるまで行うことが出来ます。自分たちがクタクタになりながら育てたもち米を収穫し、食べることが出来るのは、少人数の強みでもあると思います。また、野外で行われる体験活動では常に事故に注意を払いますが、子どもの人数が少ないことで注意がいきわたるメリットもあります。
野外での体験活動から子どもたちが得た、1つ1つの興味・関心が、課題の発見につながるよう意識して授業を行っています。体験活動は、「体験ありき」になってしまうと、「面白かった!」だけで終わってしまう可能性があります。そこで、体験活動の振り返りを特に大切にし、そこから課題を発見したり、追及したりして、効果的な探究活動につなげられるかを教員一同は、常に意見を交換しながら実践しています。
また、こうした体験活動は、身近な自然、身近な地域から様々な課題を発見し、子どもたちひとりひとりが「自分事として考える機会」を与え、さらに子どもの郷土愛を育む教育活動の一環にもなっています。
取り組みを通じて子どもたちが身につけた課題を発見する力、追及する力を基礎学習に結び付けて、探求学習にしていくかという難しい側面があるので、総合的な学習の時間と各教科を関連付けるカリキュラムマネジメントを行うこと等の工夫が必要です。
今回は、成木小学校で実践している体験学習を中心に紹介しましたが、この他にも小規模特認校としての様々な特徴があります。また、児童数が少なく、学区域外から通う児童もいるため、学校が終わった後に友達とあそびにくい。児童数が少ないため、人間関係が固定化しやすいなどの特有の難しさを感じることもあります。